お茶の愛葉園 は、現在準備中です。

2020/02/12 21:43

こんにちは、チャバティ64です。

 

仕事はお茶の販売員をしています。

よろしくお願いします。

 

さて本日はボクの一番好きな戦国武将「大一大万大吉(だいいちだいまんだいきち」

おなじみの「石田三成公」が寺小姓だったころのお話とされる「三杯の茶」を検証します。

お茶に携わるものとして避けては通れないお話です。

 

f:id:tyabatea:20180809001851j:plain

(最上級のお茶 出汁のようなうまみとコクで最高でした!)

 

このお話は後日の創作とか言われていますが、どうなんでしょう?

ご存知ない方に簡単にご説明いたしますと、鷹狩に来た(のちの豊臣)秀吉公が、

のどが渇き、寺に立ち寄った所、寺小姓さんだった佐吉(のちの三成公)が、

お茶をお出ししました。

 

「一杯目はのどの渇きを潤していただくため、大ぶりの茶碗でぬるく」

「二杯目は落ち着いていただくため、それよりも小さな茶碗に少し熱め」

「三杯目は十分に味わっていただくために小ぶりな茶碗に熱々のお茶」


その気遣いに秀吉公がお喜びになり、佐吉を家臣にしたという話です。

 

これはのちの創作だとするお話がありますがロマンが足りないですね(゚Д゚)ノ

とても素敵なお話じゃないですか?(*‘∀‘)

 

ボクの大好きな三成公の真の気遣いをみなさんに懇切丁寧にお伝えしましょう。

これを読んでいただければ納得してもらえると思いますよ!

 

それでは検証してみます。

このお話は突然、秀吉公がお寺にやってくるところから始まります。

 

Q. 「茶をくれい!」(威風堂々こんな感じでしょうか?)

   秀吉公が、のどが渇いたと申しております。


次はどちらでしょう? 

① 佐吉は慌てて給湯室(笑)へ行き、お湯を沸かしはじめます。

② 佐吉は急いで湯の沸かしてある、火鉢のある居間へ行きます。

 

仮説A

①番に進んだ場合、秀吉公はのどが渇いているので急がなければいけませんが、

戦国時代ですから火力はたかがしれています。

待たせると恐いし、申し訳ないので「とりあえずぬるま湯」で、いれちゃいましょう!

 

「一杯目のぬるいお茶の完成です」

 

しかし、待ってください。

大ぶりのお茶碗に入れる理由が見つかりません。

大ぶりのお茶碗ではさらに湯が冷めてしまうため、むしろ避けるのが定石です。

 

「二杯目は少し沸いてきたお湯で淹れる」

「三杯目は沸いたので熱々で淹れる」

 

お茶碗が小さくなる理由もありません。

 

当時のお水は井戸だと思いますが、沸騰させないとちょっと怖いですよね。

また、水は一度沸騰させないとお茶はおいしくいただけません。

(お茶屋さんあるあるです)

これは、仮説が立ちそうですが三成公の本意ではなく、

お茶を淹れる者なら考え付かない常識はずれだと思います。

 

仮説B 

②番に進んだ場合、お湯はすでに沸いていますのですぐに入れられますが、熱々のお茶になります。

そこでおいしいお茶と言えば「湯冷まし」(最近見かけなくなりました)の登場です。

f:id:tyabatea:20180809090720j:plain

(一番右のものが湯冷ましです。萩焼のセットでボクのお出かけ用です)

 

お茶は湯の温度を下げて淹れることによってうまみ成分である「テアニン」が

多く抽出され、反対に苦みや渋み成分が出にくくなり、のど越しが良くなります。

普段からお茶を淹れ慣れていた寺小姓ならではの技と心ではないでしょうか?

 

また、茶葉自体が当時は大変な高級品だったと思われますから、

お相手が秀吉公といえども、一煎で捨てることはなかったのではないでしょうか?

 

工程としては以下の通りです。

 

① ヤカンのお湯をお茶椀に入れ(100℃→90℃)

② 茶碗のお湯を湯冷ましに入れ(90℃→80℃)

③ 湯冷ましのお湯を急須に入れ(80℃→70℃)

④ 急須のお茶を湯冷ましに入れ(70℃→60℃)

⑤ 湯冷ましのお茶を茶碗に入れ(60℃→50℃)

 

お茶碗や湯冷ましを複数用意すればさらに温度は下げられます。

 

f:id:tyabatea:20180809090959j:plain

 (こちらは常滑焼のものです、こうやって見るとカワイイでしょ?)

(お出かけ時に違う茶葉を淹れるための予備です、呼ばれればどこでも行きます)

 

お湯は沸いているわけですから④の工程以外迅速です。

湯冷ましを使い温度を下げながら淹れるには大ぶりの茶碗が使いよく、

尚且つ茶葉を多めに入れることにより、初めから三煎淹れるおつもりだったのではないでしょうか?

ここにこそ三成公の気遣いが見える気がします。

 

「一煎目の大ぶりのお茶碗にぬるめのお茶完成です」

 

検証を続けます。

 

一煎目を冷まして淹れたため、茶葉はまだ閉じています。

ここで湯冷ましを一度だけ使い、先ほどより熱めのお湯を少し多めに入れ茶葉を開かせます。

 

「二煎目の少し大きめのお茶碗に入れたお茶の完成です」

 

三煎目もまだ茶葉が開ききっていないため熱湯を直接急須に静かに注ぎます。

たくさん入れると薄くなってしまうため少な目です。

そして茶葉を全開に開かせ「小ぶりなお茶碗に熱々のお茶」の完成です。

 

この三煎目はきっとお茶らしい苦み、渋みを伴ったお味だったと思います。

熱いので「カフェイン」「カテキン」も、しっかり出て「秀吉公」も

お帰りになられる足取りが軽くなったのではないでしょうか?

 

通常のお茶も三煎までなら温度を上げていけば、おいしくいただけます。

まさしくお茶の葉の心まで知り尽くした三成公ならではの技術だと確信します。

また、それを感じ取った秀吉公もさすがに「太閤」と、なられる大きな方です。

 

群雄割拠の戦国は、すごい方がいっぱいみえたんですね。

やっぱり三成公はカッコイイなぁ(*´ω`*)


 

今日のお話はここまでです。

あなたの今日がステキな一日でありますように!

チャバティ64でした。